それっぽい話をする人や、それっぽい風を演じる人が昔から苦手だ。
今、電車で7人掛け席の前でつり革持って立っている。右隣には微積分の本を読む50代の小綺麗で真面目そうなスーツの男性。
臭い。
めっちゃ臭い。
いま絶対この人屁をこいた。発信源的にこの人からしかありえない。
実は左隣には汚い格好のお爺さんが立っている。でも絶対この人はシロだ。きっと体はアカだらけで服もクロずんでるけど、シロだ。
どうゆう神経して車内で放屁などできるのだろうか。お腹の調子がどうしても我慢できないぐらい悪いならまだわかる。でも、なんならこの人イヤホンでなんか音楽聞いてたまーにリズムとってる。確信犯なのだ。
よく考えたら音楽聞きながら微分積分だけでもおかしいのに、さらには公共の密室で屁までこくなんて、サイコパスとしか思えない。
無駄に素敵な赤の水玉のネクタイが怒りを増長させる。高級スーツで世界レベルのガサツを隠してる悪質スカンクモンスター。
こいつまじか。
せめて左隣のお爺さんであってほしかった。申し訳ないがそのほうが気持ちの整理がついた。
まだ臭い。
目の前で座っている女子大生が、チラチラ俺を見ている。
違う。俺じゃない。