「サウナー」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
世の中には無類のサウナ好きという人種が一定の割合で存在し、30代の日常生活での平均出現率は20%程度と言われている。
ドラゴンクエスト5におけるグランバニア山の洞窟でのはぐれメタルの出現率と同程度といえばわかりやすいかもしれない。
<参考>世代別サウナー出現率
10代:2%
20代:12%
30代:21%
40代:35%
50代:34%
60代:45%(サウナ内での発作率6%)
~出典:日本サウナ&スパ協会をこよなく尊敬する会~
サウナーはサウナをこよなく愛し、日々の疲れ、癒しを家族でなくサウナに求める男たちのことを指す。
この前提において、女性がサウナーを名乗る資格は現代日本にはまだない。
さて、そんなサウナーにもプロサウナーと呼ばれる方々が存在する。
有名どころで言うと、サウナでの快楽状態「整う」を日本で初めて表現した濡れ頭巾ちゃん氏、サウナを一つの求道鍛錬と捉えた「サ道」を考案し漫画によって世に広く流布した立役者タナカカツキ氏(日本サウナ&スパ協会公認サウナ大使)、博報堂DYパートナーズという大手広告代理店でビジネス手腕を奮う傍ら年間300日サウナに入る(らしい)猛者越山剛氏等、だ。
他方、私もサウナーとして10年近くのキャリアがあり日本サウナ&スパ協会公認の「サウナ・スパ健康アドバイザー資格」も保有しているし、
手前味噌だがサウナの歴史・サウナコーチング技術・サウナの効用に関する科学的アプローチの知見は多くのプロに引けをとらない。
でも、やはり彼らを見ていると、自分はアマチュアなのだと感じるのである。
全てのサウナ雑誌・インタビュー記事を読破し、彼らプロサウナーの姿勢に触れて思うのは、サウナを自分事として捉えていないということだ。
サウナは気持ちいい。これは間違いない。
実はサウナーの99%は、サウナに入りに行っているのではなく水風呂に入りに行っている。
これはどういうことかというと、限界までサウナで温めた体を水風呂で急激に冷やすことによってのみ、体に不思議な現象が起こる。サウナ用語で「トランス」といわれる状態のことだ。
専門的にはβエンドルフィンという快楽物質が大量に分泌されており、その状態は麻薬摂取時と同じような中毒性があるらしい。
しかしながら、自分が気持ちよくなるためにサウナに入っているようではやはりアマチュアだと思うのだ。
プロはラジオ出演、サウナイベント企画、サウナ雑誌・漫画出版、サウナコンサルタント業開業etcその快楽を世に知らしめるために精力的に活動をしている。
毎日サウナで自分自身が快楽を享受するだけでなく、その効用・素晴らしさを一人でも多くの人に届けようと必死になって生きている。
この姿勢こそが、プロフェッショナルなのだと思う。
この社会貢献意識、もっと身近な言葉でいうと他人を思う気持ちが、研ぎ澄まされた技術・経験の根底にあってこそプロといえるのではないだろうか。
私はこのことに気付き始めてから、サウナを世に広めることにかなり積極的になった。
また、初めてサウナを体験する人が嫌な気持ちにならないよう、水風呂に入る際にかけ湯をしないクソ大学生やクソ不潔老人にも間髪いれず注意するようになった。
そして、最近入社した新しい会社でも、サウナをもっと知ってもらうためにひたすら自己紹介でサウナ好きを公言し、サウナの素晴らしさを説いて回り、サウナへ一緒に行こうと誘いまくった。
私のあだ名は、ホモになった。
プロサウナーは、まだまだ、道半ばだ。